銀河英雄伝説:時代を超えて愛される理由 新作アニメはエンターテインメント性を大事に

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「銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱」のビジュアル(C)田中芳樹/松竹Production I.G

 アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」の第2シーズン「銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱」の第1章が9月27日、上映される。原作は田中芳樹さんの人気小説「銀河英雄伝説(銀英伝)」で、1982年の刊行開始以来、今も読み継がれている人気作。第1シーズンのテレビアニメが放送されると大きな話題になった。アニメを手がける多田俊介監督に、時代が変わっても愛され続ける「銀英伝」の魅力、新作アニメに込めた思いを聞いた。

 ◇未来の大河ドラマのような魅力

 「銀英伝」は、銀河帝国の常勝の天才ラインハルトと自由惑星同盟の不敗の魔術師ヤンウェンリーの対決を中心に銀河の興亡を描く作品。1988年からアニメ化され、本伝110話、外伝52話、劇場版3作が制作された。新作アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」はProduction I.Gが制作。テレビアニメが2018年4~6月に放送された。第2シーズンにあたる「銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱」の第1章が9月27日、第2章が10月25日、第3章が11月29日にそれぞれ上映される。

 「銀英伝」は時代が変わっても愛され続けている。フィクション、SFではあるが、歴史小説のようでもある。多田監督は、その魅力を「大河ドラマのよう」と語る。

 「宇宙を二分する戦いを描く未来の大河ドラマ。主人公はいますが、一人の人物だけのヒロイックな生涯を描くのではない。数多くの登場人物がいて、彼らの人生も描く。何かを貫徹できなかった人々のことも描いています」

 原作の刊行が始まったのが1982年、つまり昭和だが、平成、令和の時代になっても色あせない普遍性もある。

 「人間性の部分に視点があるから、色あせないのかもしれません。世の中を動かそうとする志のある人間がいて、良いことばかりが起こるわけでなく、不正を働く人間もいる。不正に対して、義憤があって正そうとする人間もいる。文明社会があれば、時代を超越して、起こりうるドラマが丁寧に描かれていることが一番の魅力。それに、IF(イフ)の想像をかき立てるんですよ。彼が生きていたら、僕が彼と一緒にいたら……と想像する。読者や視聴者が物語に近付き、共感できる。文明社会に生きている人間にとって、こうあるべき! と思うことが描かれています。だから、昭和世代、平成世代も楽しめる。これからの令和世代も楽しめるはずです」

 ◇艦隊戦に高揚感を

 大作「銀英伝」の新作アニメを制作するにあたって、多田監督が大切にしたのは「エンターテインメント性」だ。大河ドラマ的な作品ということもあり、年表を追うような作りにもできるが、ドラマチックに見せようとした。

 「大事にしていたのは、原作のエンターテインメント性を大事にすること。ドキュメンタリーではないので、人の生き死を客観的にすると共感できない。カメラを寄りにして、生活している人の視点に近付けたり、ヒロイックに見えたり、喪失感、悲しさを失わないようにもしました。艦隊戦も情報として見せるならもっとカット数を減らしてもいいのですが、あえて高揚感があるものにしたかった」

 CGで描かれた艦隊戦も見どころの一つになっている。

 「艦隊戦は情報の密度を上げています。戦艦のCGモデルを作る時のとにかく大きなサイズにしています。テレビで見るとディテールが見ませんが、劇場ではエンジンノズルなど細かいところも見えます。今回はCGが新しい見え方になるようにわがままな提案をしました。実写のSF映画のCGのようだと、2Dのキャラと分離してしまいます。2Dのキャラと一緒でもおかしくないが、セルルックではないところを目指す……。大変でした」

 新作アニメはこれまでの「銀英伝」のファンだけでなく、初めて作品に触れる人も意識した。特にキャラクターデザインについて熟考したという。

 「キャラクターは、いわゆる写実的、デッサン的なデザインとアニメ的なデザインのどちらを選択するかを考えていました。アニメ的なキャラクターに見慣れた世代に身構えずに入ってほしかったので、メインキャラクターはアニメ寄りのキャラクターにして、年齢を重ねたキャラクターをデッサン寄りにしています」

 ◇ラインハルトは若さ故のもろさも ヤンは…

 「銀英伝」は、さまざまな魅力的なキャラクターが登場するが、物語の中心となるのはラインハルトとヤンの二人だ。本作ではこの二人をどのように描こうとしたのだろうか?

 「物語が長く続くことを前提に作っているので、ラインハルトは最初から全開ではないし、見せられるものを全部見せているわけではありません。ラインハルトは時代に選ばれた英傑ではありますが、一人の人間として見ると、親友にしか心を開かなかったり、姉への愛が過剰だったり、若さ故のもろさもある。ヒロイックな部分だけではない部分も見せ、そのラインハルトが変化していくようにしています。一方、ヤンはすごく難しいんですよ。ラインハルトに比べると、主観が分かりにくい。主観が分かる男に変化しているところを見せようとしています。変化していくのは大分、後半になってからですが」

 第2シーズンでは、ラインハルト、ヤンの環境が大きく変化し、多田監督は「ヤンとラインハルトだけが流れを作っているわけではなく、大河のような流れになっていきます」と話す。第2シーズンは変化が見どころになりそうだ。

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